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7話 彼の葛藤と、期待の行方

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-09-01 16:34:01

 射的の屋台に着いても、悠真の心は金魚すくいの屋台に残っていた。まどかが隣で楽しそうに銃を構えているが、悠真の視線は、何度も金魚すくいの方へと向かう。煌とひよりが、顔を寄せ合って笑っているのが見えた。煌が、ひよりの取った金魚を自分の袋に入れるのを手伝っている。その光景は、悠真の心を激しく揺さぶった。

(なんだか、コウとひより、楽しそうだな……)

 悠真は、無意識のうちに射的の銃を強く握りしめた。彼の股間は、既に熱を帯び始めていた。それは、ひよりへの募る想いと、煌への嫉妬が入り混じった、抑えきれない衝動の熱だった。まどかは、そんな悠真の様子をちらりと見て、微かに口元を緩めた。彼女の企みは、悠真の心を確実に揺さぶっていた。

 しばらくして、煌とひよりが金魚の入った袋を持って戻ってきた。ひよりの顔は、楽しかったのか、少し上気している。

「見て見て、悠真くん! コウくんが、私に金魚取ってくれたの!」

 ひよりが、嬉しそうに金魚の袋を悠真に見せた。その無邪気な笑顔が、悠真の心をさらに締め付ける。煌は、得意げに悠真に目配せをした。悠真は、ひよりの笑顔の裏に、煌への特別な感情がないことを知っている。しかし、煌がひよりに近づいているという事実は、悠真にとって耐え難いものだった。

 祭りの賑わいの中、悠真の心は、ひよりへの募る想いと、煌への嫉妬、そしてまどかの企みによって、複雑に絡み合っていた。この夏祭りの夜は、彼らの関係に、新たな波紋を投げかけることになるだろう。

♢プールへの誘いと予感

 夏休みに入り、うだるような暑さが連日続いていた。アスファルトの道からは陽炎が立ち上り、肌にまとわりつく湿気で全身がじっとりと汗ばむ。そんなある日、悠真のスマホが震えた。画面に表示されたのは、まどかからのグループメッセージだった。

「ねーねー、みんな!このクソ暑いのどうにかしよーぜ!プール行かない?!」

 絵文字いっぱいのメッセージに、すぐにひよりと千代から「行きたい!」という返信が続く。凛音からは「……別に。どうでもいいわ」と素っ気ない返信があったものの、結局は参加するだろうと悠真には分かっていた。煌からも「いいね。俺も行く」と軽いノリの返事が来た。悠真はメッセージを読みながら、指がわずかに震えるのを感じた。プールの授業での出来事が、鮮やかに脳裏をよぎる。あの時のひよりの柔らかい感触が、掌にまだ残っているかのような錯覚に陥った。同時に、再びあの肌に触れてしまうのではないかという、甘い予感にも似た期待が胸を締め付けた。

 数日後、待ち合わせ場所の駅前に集合した悠真たちは、強い日差しの中、プールへと向かう道を歩いていた。まどかは既に浮き輪を抱えてはしゃぎ、ひよりと千代は楽しそうに言葉を交わしている。凛音は相変わらずクールな表情で、煌はひよりに軽口を叩きながらも、どこか楽しげだ。

「悠真くん、なんか今日、ソワソワしてない?」

 不意に、まどかが悠真の顔を覗き込んできた。彼女のオレンジ色の瞳が、悠真の内心を見透かすようにキラリと光る。

「……別に。なんでだよ」

 悠真は努めて平静を装ったが、声が僅かに上ずった。頬に熱が集まるのを感じる。

「ん〜?そっかな〜?」

 まどかはニヤリと笑うと、それ以上は何も言わなかった。しかし、その視線がひよりの方向へと向けられたことで、悠真の胸はさらに高鳴った。まどかは何かを確信しているかのように、満足げな表情を浮かべている。悠真は、自分の動揺がまどかに筒抜けなのではないかと、冷や汗をかいた。

 プールへと続く道沿いの並木からは、セミの鳴き声がシャワーのように降り注ぎ、夏の盛りを告げている。その音は、悠真の鼓動と重なって、彼の耳の奥で激しく響いていた。彼の心は、ひよりへの募る想いと、その想いが暴かれてしまうかもしれないという、淡い不安と期待の間で大きく揺れていた。

♢賑やかなプールサイドと高まる予感

 眩い日差しの中、悠真たちはついにプールへと到着した。入口を抜けると、水しぶきの音と子供たちの歓声、そして独特の塩素の匂いが一気に押し寄せてくる。広がる青いプールの水面は、太陽の光を浴びてキラキラと輝いていた。まどかは既に目を輝かせ、ロッカーへと一直線に駆け出していく。

「あー!早く着替えないと、波のプールが待ってるよ!」

 まどかの弾んだ声に、ひよりも千代も楽しそうに笑い合った。凛音は、ちらりと悠真に視線を向けた後、静かにロッカーの方向へ歩き出す。その視線には、何かを言いたげな、しかし言葉にはならない感情が宿っているように見えた。悠真は、その視線に微かな緊張を覚えた。

 ロッカールームの湿った空気と、更衣室特有の入り混じった匂いが悠真の鼻腔をくすぐる。彼は深呼吸を一つし、ゆっくりと制服を脱ぎ始めた。着慣れた服を脱ぎ捨て、水着になるにつれて、胸の奥でひよりの姿が鮮明に蘇る。プールの授業で見た、濡れた体操服越しに透けていた肌の記憶が、再び彼を支配し始める。

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